2022年12月現在、Spring’23はリリースノートさえまだ発表されてないですが先日取得したプレリリース環境で主な新機能挙動を確認してみます。この記事ではまずフローの主な新機能をまとめます。
ちなみにSpring’23は下記のスケジュールでリリースまで向かうようです。
・2022/12/15:プレリリース組織のサインアップ開始
・2022/12/21:英語版リリースノートの公開
・2022/1/5:Sandboxプレビューインスタンスで有効化Sandbox準備期限
・2022/1/6:Sandboxプレビューの開始
・2023/2/10:本番リリース
【2023/2/12追記】フロー以外の新機能は下記記事に纏めました。
1トランザクション内の実行要素数上限2000が撤廃
・実行要素数の確認サンプルフローを作成してみる
1.Screen1で開始時点のカウントを確認します。var_numという数値変数を作成し表示します。デフォルト値は0を指定しています。
2.var_numが2100以下であればカウントアップを続ける設定で決定要素を配置します。
3.var_numが2100以下であれば、var_numに1を加算する割当要素を配置します。
4.最後にScreen2でvar_numが2100を超えた際に表示する画面要素を配置します。
●Winter’23以前(APIバージョン56以前)でデバッグした場合
下記のようにvar_numが999までカウントアップされると「制限を超えました」というエラーになりました。
1カウントアップするために決定要素と割当要素の2つを使用することになるので、var_numが999までだったということは実行できた要素数は2000だったことが分かります。
●Spring’23(APIバージョン57)でデバッグした場合
同じフローを実行しましたがAPIバージョンが57というだけでエラーとならず実行完了できました。
var_numが2101までカウントアップできているので、おおよそ4200要素は実行できたようです。
たしかに1フロー内での実行要素数上限2000が撤廃されていることが分かります。
DMLやSOQLなどガバナ制限は引き続き上限がありますが、実行要素数2000の撤廃は嬉しいアップデートになりそうです。
Reactive(即反応)な画面フロー
画面フロー内で配置するコンポーネントが分かれている場合、今までは「次へ」などで画面を進まないと別コンポーネントへ情報が反映されませんした。これからは別コンポーネント間の情報受け渡しがすぐ実施できるようです。(Spring’23時点で未だベータ版です)
今まではLightning Web Componentなどのプログラム開発が必要でしたが、これからはフローで実現できます。対応するデータ型は今後拡充予定のようです。
・前提:[プロセスの自動化設定] – [Opt in to Reactive Screens Beta]を有効化しておきます。
1.取引先名に「sample」が含まれる取引先をコレクションで取得します。今回はこれで3件の取引先が取得できます。
2.次に画面要素を配置します。
画面左:1で取得した取引先コレクションをSource Collectionに指定します。画面右にはテキストコンポーネントを2つ配置し、それぞれのデフォルト値にはData tableコンポーネントで選択した取引先の取引先名と都道府県(請求先)をそれぞれ指定します。こうすることで、Data tableで選択した取引先の項目をテキストにリアルタイムに反映できます。
ちなみにData tableコンポーネントとテキストコンポーネントはセクションコンポーネントで画面を1/2ずつに分割しています。
●Winter’23以前(APIバージョン56以前)でデバッグした場合
画面左で取引先を選択しても、画面右のテキストには何も表示されません。
●Spring’23(APIバージョン57)でデバッグした場合
画面左で取引先を選択すると、画面右のテキストには選択した取引先の「取引先名」「都道府県(請求先)」が即座に表示されます。
ユーザが操作した情報を元に即座に別コンポーネントに反映できるので、ユーザビリティの向上が期待されます。
画面要素でChoice Lookup (Beta)が新登場
ベータ版ですが画面要素に配置できるコンポーネントとして「Choice Lookup (Beta)」が新規追加されています。
検索ボックスに値を入力して検索+あらかじめ検索できるレコード範囲を決めておける、という点で今までにない機能のようです。
ちなみに従来の選択リストコンポーネントと似た挙動です。ただ選択リストは「あらかじめ検索できるレコード範囲を決めておける」という点では同じですが、「検索ボックスに値を入力して検索」は出来ませんでした。
今回はリソースとしてレコード選択肢セットで予め取引先名に「sample」が含まれる取引先を取得しておき、それをChoice Lookupコンポーネントの選択肢に設定する形でフローを作成しました。
プロセスビルダーのフロー移行ツール
「フローに移行」は従来はワークフロールールのみでしたが、プロセスも対象に加わりました。
Winter’23ではワークフロールールの新規作成が廃止されましたが、今回のSpring’23プレリリース環境時点ではプロセスビルダーでのプロセス新規作成廃止は見当たりませんでした。