フローでメール送信する方法は大きく2つあります。メリットデメリットを整理しましょう。
Salesforceからメール送信することは昔から可能ですが、今回は自動化機能であるフローを使ってメール送信する際の2つの方法を見ていきたいと思います。
メール送信は件名、本文以外にも様々な設定が可能です。本文にSalesforceの値を動的に差し込みなども検証してみます。
方法1:[メールアラートを送信] アクションでメール送信
作成の流れ
メール送信フロー作成前に、事前にメールアラートを作成しておく形になります。
1.メールテンプレートを作成
2.1を使いメールアラートを作成
3.2を使いフローを作成
クイック検索で開始
[クイック検索] – [Classicメールテンプレート] – [新規テンプレート]ボタン から作成を開始します。
次に新規テンプレート画面で各項目を入力します
メール送信時の本文にSalesforceの値を差し込む設定です。
●特に下記に注意しましょう
・有効✓はチェック有りにしておきます。
・本文や件名にはレコード値を動的に差し込めます。
画面上部の差し込み項目でメールへ差し込むオブジェクトと項目を選択肢し、
表示される「差し込み項目値」をそのままコピペして貼り付けます。
方法1-2.メールテンプレートを使いメールアラートを作成
クイック検索で開始
[クイック検索] – [メールアラート] – [新規メールアラート]ボタン から作成を開始します。
次に新規メールアラート画面で各項目を入力
●メール送信設定で特に下記に注意しましょう
・メールテンプレート
先ほど作成したメールテンプレートを検索して選択します。
・選択済みメール受信者
実際にメールアラートを受信する人を選択します。
・追加のメール
基本的にメール受信者はSalesforceに登録された社内ユーザや取引先責任者に限定されますが、ここに5つまではメールアドレスを直接打ち込むことで指定が可能です。
・差出人メールアドレス
デフォルトの「現在のメールアドレス」状態だと、この後作成するフローを起動したユーザになります。
ポイント:選択済みメール受信者
[選択済みメール受信者]は受信者種別ごとに選択肢が異なります。
所有者、レコード内にメール型項目、ロール、公開グループなどでも指定可能です。
ポイント:差出人メールアドレス
メール送信時の[差出人メールアドレス]はデフォルトでは自動化起動したユーザ自身ですが、
事前に登録した会社の固定アドレスにも出来ます。
詳細は後述の「オプション1:送信元アドレスの固定」で説明しています。
クイック検索で開始
[クイック検索] – [フロー] – [新規フロー]ボタン から作成を開始し、
[最初から開始]を選びます。
種別の選択
メール送信は主に2つのフロー種別があります。
代表的な種別である[画面フロー]と[レコードトリガーフロー]のどちらでも使用可能ですが、
今回は[レコードトリガーフロー]で進んでみます。
開始要素の設定
開始条件を指定します。
今回は商談オブジェクトのフェーズが成約時としてしたいため下記の設定とします。
メールアラートアクションの作成
メール送信のアクションとして[メールアラート]と検索すると下記2つがヒットします。
・メールアラートを送信:標準で用意されているメール送信のアクション
・商談成約時のメールアラート:先ほど自分が作成したアクション
前者を選んでもその後に具体的なアクション選択画面となるため、
どちらを選択しても自分が作成したアクションを使用できます。
[カスタムオブジェクトID]にはフローをトリガーした商談のレコードIDを指定します。
ここで指定した商談レコードの内容をもとに、メールテンプレートで指定した商談名や金額などがメールへ自動差し込みされます。
フローの完成
これでメール送信のフローが完成です。
開始条件、メール送信という2要素のみのシンプルなフローですが、保存すればこれで完成です。
他にも決定要素による条件分岐などを加えることでメール送信のタイミングを柔軟にカスタマイズすることも可能です。
方法2:[メールを送信] アクションでメール送信
作成の流れ
メール送信設定がフロー内で設定が完結するため、いきなりフロー作成から始めます。
1.フローの作成開始
2.[メール送信]アクションの各プロパティ設定
種別の選択
メール送信は主に2つのフロー種別があります。
代表的な種別である[画面フロー]と[レコードトリガーフロー]のどちらでも使用可能ですが、
今回は[画面フロー]で進んでみます。
トリガーレコードの取得
今回メール送信で使用するのは画面フローのため、
まずはフローをトリガーしたレコードを取得します。
レコードトリガーフローであればこのステップは不要です。
今回はリードレコードでフローが開始される想定で作成してみます。
詳細は割愛しますが、トリガーされたレコード情報を取得するには
通例通り下記の設定が必須になります。
・API参照名:recordId
・入力で使用可能:True
方法2-2.[メール送信]アクションの各プロパティ設定
フロー内でテキストテンプレートの作成
メール送信の本文に使うテンプレートです。
リソースでテキストテンプレートを作成し、この後の[メール送信]アクションで使用します。
[リソースを挿入]からフロー内で取得した各値を差し込みが可能です。
メールを送信アクションの作成
メール送信を実行するアクションを探します。
[メールを送信]と検索すると下記がヒットします。
・[メールを送信]:標準で用意されているメール送信のアクション
各プロパティの設定
メール送信時には細かい挙動の指示が可能です。
[メールを送信]アクションには多くのプロパティが用意されています。
方法1と違ってフロー内で全て指定が可能です。
まずは最低限、件名、受信者ID、本文を指定してみます。
各プロパティの定義は下記になります。
※BBC、CCは2024年10月リリースのWinter25以降に使用可能。
ポイント:メール送信後に活動タイムラインへ表示する
・使用するプロパティ:「送信時にメールを登録」
[受信者 ID] または [関連レコード ID]、もしくは両方に値を指定することで、
メール送信履歴として活動タイムラインへ自動紐づけが可能です。
方法2のTips:3つのメール受信者プロパティ使い分け
メール送信の宛先には3つの設定方法があります。
受信者の設定方法3選 – ①
①受信者ID
メールアドレスではなくSalesforceIDを1つ指定(リード/取引先責任者/個人取引先のいずれか)
■主な使用シーン
メール送信後に「メールを記録」にて受信者レコードの活動タイムラインへ送信履歴を紐づけたい場合
Salesforce社内ユーザを受信者とする場合はこの方法が使えません。リード、取引先責任者、個人取引先レコードのSalesforceIDを指定することで、各レコードに登録された標準の「メール」項目に事前登録されているメールアドレスへ送信されます。※個人取引先を宛先とする場合には取引先オブジェクトの[PersonContactId]項目を指定します
受信者の設定方法3選 – ②
➁受信者アドレスコレクション
テキストコレクション型でメールアドレスを指定、複数アドレスの指定も可能
■主な使用シーン
複数の受信者へメール送信する場合
・テキストコレクション型の変数は下記の手順で作成できます。
1.[新規リソース] – [変数]
2.[データ型]=テキスト、 [複数の値を許可(コレクション)] = チェック有り
このテキストコレクション変数へ、割り当て要素等でメールアドレスを追加することで複数受信者を指定することが出来ます。
ループ要素と割り当て要素で実現する方法の他、変換要素で複数のテキストを一括でテキストコレクション変数化することも出来ます。後者の方法は下記記事で検証しています。
https://sfdctechsite.com/2024/08/11/flow_transform_winter25/
受信者の設定方法3選 – ③
③受信者アドレスリスト
カンマ区切りでメールアドレスを指定(例:aaa.gmail.com,bbb@gmai.com)
ループでアドレスを追加していくなどで作成した1つのテキスト型変数のイメージ
■主な使用シーン
社内ユーザへメール送信する場合、複数の受信者へメール送信する場合
コレクション型ではないテキスト変数、数式、各レコードの1項目等を使用できます。
社内のユーザを受信者とする場合は「受信者ID」は使用できないため、この「受信者アドレスリスト」プロパティが使用しやすそうです。
方法1,2共通のオプション1:送信元アドレスの固定
メール送信時の差出人は通常はフローを実行したユーザ自身ですが、
送信元アドレス固定も可能です。企業からのお知らせメールなどで使用することも多いです。
作成の流れ
1.組織のアドレスを設定し、認証まで完了する
2.メールアラート、またはフロー内でアドレスの設定
1-1.組織のアドレスの作成
メール送信時の差出人としたいアドレスを登録します。
[クイック検索] – [組織のアドレス] – [新規]ボタン から作成を開始します。
任意のアドレスとその表示名を入力します。
このアドレスを送信元として使用できるユーザをプロパティ単位で指定も可能です。
1-2.アドレスの認証
メール送信時の差出人アドレスは設定時に1度だけ認証が必要です。
「Salesforce組織アドレス変更のお知らせ」というメールが指定したアドレスへ送信されます。
メールの内のURLをクリックすると状況が「検証済み」となり初めて認証完了となります。
手順2.メールアラート、もしくはフロー内でアドレスの設定
パターン①「メールアラート」での差出人メールアドレス
メール送信用に事前に作成する「メールアラート」に差出人設定します。
メールアラート下部の「差出人メールアドレス」で登録しておいた組織のアドレスを指定
パターン➁「フローのメールを送信」での送信者メールアドレス
フロー内でメール送信時の差出人を設定します。
・メール送信アクション内の「送信者メールアドレス」に登録しておいた組織のアドレスを入力(メールアラートのようにプルダウン選択できず入力が必要のよう)
・合わせて「送信者タイプ」に”OrgWideEmailAddress”と入力(こちらもプルダウン選択ではなく入力が必要のよう)
方法1,2共通のオプション2:2つのメールテンプレート使い分け
メール送信する際の本文となるメールテンプレートには「Classic メールテンプレート」「Lightning メールテンプレート」の2つがあります。
①Classic メールテンプレート
・特徴
Classic時代に登場した歴史ある機能だが、今も現役です。
親レコードの項目でも差し込み可能。
・画像挿入
HTMLタグを使って下記例のように画像URLを手動で挿入します。
「ドキュメント」や「ファイル」オブジェクトで事前に画像アップしておき、そのURLを使用します。
<img src=”https://example.com/image.jpg” alt=”example image” />
・作成箇所
システム管理者以外でも「メールテンプレートを管理」権限があれば作成編集可能ですが、設定画面を開き「設定」 > 「メール」 > 「Classicメールテンプレート」設定画面から作成編集となります。
②Lightning メールテンプレート
・特徴
親レコードの項目は差し込み不可、親の項目が使えるように数式やフローで項目を自レコードへ事前に保持しておく必要がある。
・画像挿入
HTMLを使用せずともドラッグ&ドロップで挿入可能です。
画像の他にも文字の大きさや色などもマウス操作で簡単に可能です。
・作成箇所
システム管理者以外でも「メールテンプレートを管理」権限があれば作成編集可能で、Lightning App BuilderのUIにてアプリケーションランチャーから作成編集となります。
まとめ
メール送信には2つの方法があることを紹介しました。
結果的に同じメールが送信されますが、下記2パターンを使いわけていく必要がありそうです。
方法1:[メールアラートを送信] アクションでメール送信
・歴史あるメール送信方法、特定の場合のみ方法1が優位
・固定のメール文面と宛先を複数のフローにて使いまわす際など、特定の場合のみ方法1が優位となる
方法2:[メールを送信] アクションでメール送信
・一番汎用性がある、最新型のメール送信方法
・フロー内で取得した値をメールへ差し込む、宛先とする場合はこの方法となる
・事前にメールアラートなど作成不要のため、同じ文面を1か所のみで使用する場合は時間をかけずにすぐ作成が可能
・方法1で可能なことは、方法2でもほぼ可能
コメント